カテゴリ:洋楽アルバム・70's( 93 )
アメリカン・ハード・ロックの雄、マウンテン!
ジャック・ブルース、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーの3人からなるスーパー・トリオ・バンド、クリーム。
そのクリームの「DISRAELI GEARS」「WHEELS OF FIRE」などの一連のアルバムをプロデュースした事でロック・ファンには知られた存在の、フェリックス・パパラルディ。
今回はそのフェリックスが在籍していたバンド、マウンテンが70年に発表した2枚目の
アルバム「CLIMBING!」を紹介しようと思います。

MOUNTAIN / CLIMBING!
マウンテン / 勝利への登攀


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Tracks
1.Mississippi Queen
2.Theme For An Imaginary Western
3.Never In My Life
4.Silver Paper
5.For Yasgur's Farm
6.To My Friend
7.The Laird
8.Sittin' On A Rainbow
9.Boys In The Band



69年にアメリカはニューヨークで結成されたマウンテンのサウンドは、簡単に言ってしまえば”アメリカ版クリーム”といったところだろうか。
クリームのようにメンバー同士が火花を散らしながら、ただならぬ緊張感を漂わせるプレイとまではいかないものの、ライヴに重点を置き、何分でも演奏するといった姿勢はクリームに通じるものがある。
さらにクリームがブルースをベースにブリティッシュ・ハード・ロックの基礎を作ったのなら、マウンテンも同様にブルースをベースにアメリカン・ハード・ロックの基礎を作ったというところでも似ていると言えるだろう。

そのマウンテン・サウンドの要の一つに、まずはフェリックスのベースが上げられるだろう。
ファズをかけた重量感溢れるプレイは、マウンテンにはなくてはならないものだ。
さらにもう一つ重要なのがギターにある。
元ヴァグランツの巨漢ギタリスト、レスリー・ウエストのブルースを主体にした独特なチョーキングを多用したプレイは、後のギタリストに多大な影響を与えた。
中でもあのマイケル・シェンカーはレスリーの大ファンで、彼の事を”神”と崇めているほどに尊敬している有名な話もあるぐらいだ。

さてアルバムの方に話を移すが、冒頭で本作は彼らの2枚目のアルバムと書いたが、実質的にはこれがデビュー・アルバムである。
というのも当初は「レスリー・ウエストとマウンテン」という名でセッション・バンド的な活動をし、試すようにアルバムを1枚だけ発表した。
基本的に当時のアメリカ、特に東海岸はハード・ロックのイメージがなかった事からなのだが、それが次第にデトロイトを中心に名前が知れ渡っていくようになると、バンド名も
「マウンテン」に改め、そこで発表したのが今作「CLIMBING!」という訳だ。

「Mississippi Queen」「Theme For An Imaginary Western」、そして「For Yasgur's Farm」という彼らの代表曲3つが収められたこのアルバムは、チャート的には全米で17位というアクションに終わっているが、これは前述した通りアメリカにはハード・ロックが根付いていなかっただけの話。
2分31秒と短いがイントロのレスリーがかき鳴らすギターが印象的なヘヴィ・サウンドの「Mississippi Queen」
ヘヴィさだけでなく、哀愁漂う叙情性に満ちた対比を見事に表現していた
「Theme For An Imaginary Western」
こちらも同じようにヘヴィさと叙情性を兼ね備えたライヴでも人気のナンバー
「For Yasgur's Farm」
本当に素晴らしいの一言に尽きる。
その素晴らしさは次作「NANTUCKET SLEIGHRIDE」でさらに完成される。

私がマウンテンの好きな理由にここで述べたヘヴィさと叙情性の”対比”にある。
この手法はイギリスのバンドに多いのだが、サウンド的には攻撃的なのに、どこかクールな面も見え隠れするといった要素。
いわばアメリカンっぽくないというところが、マウンテンの最大の魅力かも知れない。
おそらくクリームを手掛けた時に、自分でもこういうサウンドを出すバンドを組みたいと思ったフェリックスの意図だと思うが、それが見事にハマッたと言える。
もちろん、それを可能にしたのがレスリー・ウエストというスーパー・ギタリストがいたからなのは言うまでもないだろう。

とにかくクリームと似ていたマウンテンだが、クリーム同様に各メンバーが優秀すぎるため、意見の衝突が激しくなって72年に解散してしまう。
またフェリックスはヘヴィ・サウンドのツケか難聴になって、プロデュース業に専念する事となった。
しかも、そのフェリックスは妻に射殺されるという事件でこの世を去ってしまう(1983年)。
大変、親日家でもあっただけに非常に残念である。
だが、ロックの世界で”クリームを手掛けた”事と”レスリーを発掘”したという、2つの偉業を為し遂げた事にかわりない。

一旦は解散したものの、再結成、解散と繰り返し、現在も活動するマウンテン。
クリームが好きで聴いた事がない人は聴いて損はないでしょう。
当然、レスリー・ウエストのギターに興味を持った人も聴いて損はない。
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by sy_rock1009 | 2005-03-09 22:29 | 洋楽アルバム・70's | Comments(2)
憂国の四士!
ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、イエス、エマーソン・レイク&パーマー。
この4つのバンドをまとめて、”プログレ四天王”というダサイ呼び方をする時がある。
だが当然ながら、この4つ以外にも素晴らしいプログレ・バンドは存在します。

ムーディー・ブルース、ソフト・マシーン、初期のジェネシス、ジェスロ・タル、ナイス、
ルネッサンス、キャメル、ゴング、フォーカス…と数え上げたらキリがない。

そして今日、紹介するアルバムもそんなプログレ名盤の中の一つです。
そのアルバムがこちら!

U.K. / U.K.
U.K. / 憂国の四士


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Tracks
1.In The Dead Of Night 5:36
2.By The Light Of Day 4:40
3.Presto Vivace And Reprise 3:06
4.Thirty Years 8:02
5.Alaska 4:38
6.Time To Kill 5:00
7.Evermore 8:09
8.Mental Medication 7:24




U.K.が78年に発表したファースト・アルバム、その名も「U.K.」
メンバーそれぞれが輝かしい経歴の持ち主で、いわゆるスーパー・バンドと結成当時は騒がれた。

バンドのスタートはキング・クリムゾン、ロキシー・ミュージック、ユーライア・ヒープ等に
在籍していたジョン・ウェットン(vo,b)が、同じくクリムゾンやイエスに在籍していたビル・ブラッフォード(ds)に声をかけて、この二人が中心となって動いたのが始まりである。

クリムゾン時代、共に「LARKS' TONGUES IN ASPIC」「RED」といった名盤を残したジョン・ウェットンとビル・ブラッフォード。
とくに「RED」で完成した新しいクリムゾン・サウンドは通称”メタル・クリムゾン”と呼ばれる程ヘヴィーなサウンドで本人たちも手ごたえ十分だった。
当然、次回作に向けてやる気も十分の二人だったが、こともあろうにクリムゾンの頭脳であるロバート・フリップのわがままで突然バンドを解散させてしまう。
二人とも「RED」の延長線上にあるアルバムを作りたかったようだが、クリムゾンが解散した今となってはその気持ちは空回りするだけ。
クリムゾン解散後、ジョン・ウェットンはロキシーに加入するが、それ程やりたい音楽ではない為、おっそろしい手抜きプレイに走るなど、ちょっとした抜け殻状態になる。
その後のユーライア・ヒープでも同じく適当にやっていたジョンだったが、それらに嫌気がさしてついに思い立った。

「オレがやりたいんはこんなんちゃう!」と。
(ここらはちょっと私の想像)

そこで前述したようにビル・ブラッフォードに声をかけ、それにビル・ブラッフォードも乗ってきてU.K.の結成に至った。
ジョンの当初の考えではエマーソン・レイク&パーマーのようにベース、キーボード、ドラムからなるトリオ・バンドを構想していたようで、まず最初に引っ張ってきたのがロキシー時代の同僚、キーボードのエディー・ジョブソンだった。
しかし、すぐにギターの必要性を感じ、ソフト・マシーン等に在籍していた経歴がある、
アラン・ホールズワースを迎える。

ここでようやく”憂国の四士”が揃ったU.K.というバンド。
ホント、いいです。

特にオープニングの「In The Dead Of Night」から3曲目の「Presto Vivace And Reprise」まではメドレーになっており、ホンマにカッコイイ。
「In The Dead Of Night」のイントロでのエディーによる軽快なキーボードに、ビル・ブラッフォードの独特のドラミング。
そこにジョン・ウェットンの太いヴォーカルが重なる。
もうこれだけでご飯をどんぶりで3杯は食べられる。

さらに忘れてはいけないのがアラン・ホールズワースのギター。
ヤッベ、カッコイイ!
さすがあのエディ・ヴァン・ヘイレンが尊敬するギタリストなだけあって、確かなテクニックだけでなく、何か聴く者を引きつけるものがある。

ジョン・ウェットンももともと素晴らしいテクニックを持ってるが、気分屋なところが災いして
腑抜けプレイに走ってしまう癖があるが、本気の時は凄いです。
クリムゾン時代を彷彿とさせるプレイで、すべての音が聴きどころなU.K.はマジでいい。

アルバムの聴きやすさという点では次回作「DANGER MONEY」の方がポップ寄りになってるので万人受けするかもしれないが、プログレ度から言えば断然このファーストの方がいい。
まあ、なぜ「DANGER MONEY」でポップ寄りになったかは、ファーストを出した後に
ビル・ブラッフォードとアラン・ホールズワースが脱退したからなんだが…。
やっぱ個性が強すぎる者同士は長続きしないという、典型的な例だな。

とにもかくにもジョン・ウェットンが80年代に結成した同じくスーパーバンドと言われた
”エイジア”というバンド。
このエイジアが好きでU.K.は聴いた事がないという人。
ジョン・ウェットンの事はそれほど詳しくないけど、ジョンの声はなんとなく好きという人。
アラン・ホールズワースのギターに興味を持った人。

聴いてみてはどうでしょうか。
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by sy_rock1009 | 2005-03-01 23:41 | 洋楽アルバム・70's | Comments(6)
百眼の巨人アーガス
最近、バイオ4にばっかり気が行ってるから、肝心の洋楽の方はおろそかになってる
このブログ。
たまにはアルバムの事も書いとこうかな。
という事で、今日はこのアルバムの紹介です。

WISHBONE ASH / ARGUS
ウィッシュボーン・アッシュ / 百眼の巨人アーガス


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Tracks
1. Time Was
2. Sometime World
3. Blowon' Free
4. The King Will Come
5. Leaf And Stream
6. Warrior
7. Throw Down The Sword






ウィッシュボーン・アッシュの「ARGUS」(邦題「百眼の巨人アーガス」)です。
レッド・ツェッペリンやディープ・パープルのように、”ロックに興味がある人なら誰もが知ってる”と言えるほどのバンドではないかも知れない。
だがブリティッシュ・ロック・ファンなら、あるいはブリティッシュ・ロックにこだわる人にとっては強い影響を与えるバンドなのだ。
まさに隠れた名バンド!
それがウィッシュボーン・アッシュだ!

そんな彼らが3作目として72年に発表した今作は、イギリスのメロディ・メイカー誌の年間ベスト・アルバムに選ばれたほどの名盤である。
当時としては珍しいツイン・リード・ギターを駆使し、叙情性に溢れたドラマティックな展開はマジでかっこいい。
特に後半4曲の繋がりのある構成と、完成された演奏は感動もんです。
もちろんシングルとしてもヒットした「Blowin' Free」も良い曲である。

またこのアルバムはコンセプト・アルバムとなっている。
内容はギリシャ神話に出て来る百眼の巨人アーガス、そのアーガスに立ち向かう王の活躍を描いたものとなっている。
なんとも壮大なストーリーですね。
そう聞くとジャケットの写真が味わい深いものに見えて、より一層とアルバムに対して感情移入できます。

ちなみにこのジャケットデザインはピンク・フロイドやツェッペリンなど、数多くのアルバム・ジャケットのデザインをしたデザイン集団「ヒプノシス」の作品です。
ヒプノシスがデザインしたジャケットは、どれも素晴らしいので私は大好きです。
また、機会があればヒプノシスの事についても書きたいと思う。

とにかくハード・ロックの攻撃性と、プログレッシブ・ロックの叙情性を兼ね備えたこのアルバム。
お薦めです。
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by sy_rock1009 | 2005-02-13 22:09 | 洋楽アルバム・70's | Comments(8)