ポンプ・ロックの最高峰
80年代初期のイギリスでひっそりとプログレッシヴ・ロック・ムーヴメントが起きたりしたわけで、70年代のプログレ・バンドに影響された新しいバンドが出てきました。
そのムーヴメントの事を最初はネオ・プログレッシヴなんて言ってたが、そのうちにポンプ・ロックという呼び方になったんですけど、とにかく80年代初期に新しいプログレ・バンドが出てきたのだ。
という事で今回はそのポンプ・ロックの頂点に立つバンド、マリリオンの85年に発表した
3枚目のアルバム「MISPLACED CHILDHOOD」です。

MARILLION / MISPLACED CHILDHOOD
●マリリオン / 過ちの色の記憶


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Tracks
 1.Pseudo Silk Kimono
 2.Kayleigh
 3.Lavender
 4.Bitter Suite
 5.Heart Of Lothian
 6.Waterhole (Expresso Bongo)
 7.Lords Of The Backstage
 8.Blind Curve
 9.Childhoods End?
10.White Feather


3枚目のアルバムとは言ったものの、実はライヴ盤をこのアルバムの前に出していたので、正確にいうと4枚目となります。
通算で4枚目、スタジオ盤としては3枚目ってトコですね。
マリリオンのデビューは82年でこのアルバム時点でのメンバーはフィッシュ(vo)、スティーヴ・ロザリー(g)、ピート・トレワヴァス(b)、マーク・ケリー(key)、イアン・モズレー(ds)という5人組。
もともとポンプ・ロックというのはこの少し前にNWOBHM(ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)ってムーヴメントがあって、そこからチョロッと派生したような感じなんですけど、この時期、生粋のプログレ野郎の集まりだったエイジアがポップ寄りなスタイルになっていったのに、マリリオンは70年代のプログレを表現してたってのは、ちょっとおもろい感じではあるかな。

そんな70年代のプログレを継承するバンドはマリリオン以外にもペンドラゴンやパラスといったバンドがあったけど、それぞれに影響されてるバンドが音楽を聴いていって分かる感じです。
例えばペンドラゴンはキャメルの影響が、パラスはイエスからの影響が出てました。
キング・クリムゾンからの影響があったレッドってバンドもあったかな。
で、マリリオンはどのバンドからの影響かと言えば、間違いなくジェネシスだったりする。
もちろんピーター・ガブリエル時代のジェネシスです。
シンフォニックなサウンドはかなりの影響を受けてそうな気配がプンプン漂いますけど、それだけじゃなくヴォーカルのフィッシュの歌詞を含めた曲の世界観や、ピーター・ガブリエルのような三文ミュージカルみたいな芝居がかった歌い方まで、かなりジェネシス的です。

それだけ似てるのでジェネシスのコピー・バンドってな感じでちょっと冷たい目で見られたりする事もあるけども、だからと言ってマリリオンにはマリリオンなりの個性もあるし、実力もアルバムを出して行くごとにつけていったりもしたので、単なるコピーじゃないのがこのバンドの良さやと思うし、私の好きなところでもある。

で、この「MISPLACED CHILDHOOD」というアルバムなんですけど、何だかんだ言われながらも着実に力をつけていった成果が出た、マリリオンの最高傑作なんです。
すでにデュラン・デュランとかカルチャー・クラブとかのニュー・ロマンティック全盛やったイギリスで、時代遅れ的なプログレ・バンドのこのアルバムがヒットしたってのは偉業というか、かなり異質やったかも知れません。
シングル・カットされた2曲目の「Kayleigh」なんかイギリスのチャートで2位になったぐらいやしね。
でも、それだけ良いアルバムって事なんですよ。

プログレと言えばコンセプト・アルバムって事で、このアルバムもやっぱりコンセプト・アルバムになっていて、ヘルマン・ヘッセ著の「デミアン」の主人公とフィッシュ自身の幼年期にあった出来事を重ね合わせたものをベースにしたっていう、なんだか良く分からんコンセプトのもと、全体的に内情的な雰囲気を出しつつ、ときにモダンに、ときにドラマティックにアルバムをきっちりまとめてます。
曲と曲もほぼ途切れる事なく進んで行くので、収録曲全部で1曲って感じの、なかなか壮大な構成になってるし、それだけのものを一気に聴かせるだけ、各パートできっちりしたものを見せてる感じですね。
だからどの曲がお薦めってのはなく、まあ、全部お薦めとなってしまいますな。
それでもあえて一曲だけ選ぶと「Blind Curve」かな。
ピンク・フロイド的な泣き泣きのギターが劇的にカッコイイです。

やっぱこのアルバム最高ですよ。

最近になってジェネシスに興味を持ったという人は、このアルバムも是非とも聴いて欲しいですね。

ちなみにフィッシュは88年に脱退してしまったので、強烈な個性だったフロントマンを失ったマリリオンも終わったかと思わせといて、94年にもこのアルバムに匹敵するぐらいの傑作、「BRAVE」というアルバムもあるので、機会があったらコッチも聴いて欲しい。
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by sy_rock1009 | 2007-04-10 21:34 | 洋楽アルバム・80's
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