屈折のポップ職人、10cc
永遠不滅の名曲「I'm Not In love」でおなじみの10ccですけど、今回はその名曲が収められている、架空の映画のサウンドトラックというコンセプトで作られた75年のアルバム、「THE ORIGINAL SOUNDTRACK」でもいってみます。

●10cc / THE ORIGINAL SOUNDTRACK
●10cc / オリジナル・サウンドトラック


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Tracks
1.Une Nuit A Paris
 a) One Night In Paris
 b) The Same Night In Paris
 c) Later The Same Night In Paris
2.I'm Not In love
3.Blackmail
4.The Second Sitting For The Last Supper
5.Brand New Day
6.Flying Junk
7.Life Is A Minestrone
                           8.The Film Of My Love


イギリス、マンチェスター出身の10ccは、エリック・スチュワート(vo,g)、グラハム・グールドマン(vo,b)、ケヴィン・ゴドレイ(ds)、ロル・クレーム(g,key)という4人組からなっていて、なかなかに屈折した、奇抜なアイデアとセンスを持った、いかにもイギリスのバンドらしい良質のポップを展開してたバンドなんですよね。
「I'm Not In love」は確かに有名で、何度もリバイバル・ヒットしているけど、実はそれ以外にもヒットした曲があって、あまり10ccを知らない人にとっては一発屋臭がプンプンと漂ってるかも知れませんけど、全然そうじゃないです。
とにかく良いバンドなのだ。

それでこのバンドの一番の良さというと、メンバーの相反する個性が上手く一体化されてるところで、そこらへんが10ccの最大の特徴であったりするんですよね。

というのも、エリックとグラハムのメロディ・メイカー&ソングライターとしての突出した才能やツアーを重視する姿勢と、かたやケヴィン&ロルの実験性を重視し、時にはツアーに出るのも拒んで黙々とスタジオで作業を行いたいという、オタク二人とが合わさってしまった、全く方向性の違うコンビ同士によるバンドとなってるんですよね。
そんな相反するコンビ同士のクセに、どういうわけか絶妙に絡み合ってるというのが10ccのサウンドであり、このバンドの音楽を聴く際に当たってのおもしろさでもあります。

で、そのエリック&グラハムのポップ・センスと、ケヴィン&ロルの実験性が見事に一体化したのが、この「THE ORIGINAL SOUNDTRACK」という10ccにとって3枚目となるアルバムなんですよね。
最初にも書いたように架空の映画のサウンドトラックというコンセプトで作られたアルバムなので、実際に映画があったわけじゃないけど、何度もアルバムを聴いていくと、なぜか映画のワンシーンが思い浮かぶような、そんな絶妙な流れのアルバムになってます。
ただのポップでなく、ちょっと屈折した表現が、なんとなくフランス映画的なものを連想させる感じで、個人的にはトリュフォーあたりの映画の雰囲気が漂うかな?
まあ、そこらへんはメンバーがかなりの映画好きってのが反映されてると思います。

それでもうちょっとアルバムの中身の事を書いておくと、ただのポップなものでなくて、ロック・オペラ仕立ての組曲が挿入されていたり、テープ編集での多重録音を行うなど、全体的にかなり凝った作りになってます。
特に多重録音の方はクイーンにも影響を与えた程、かなり多用していて、本当なら甘すぎるぐらいのバラード「I'm Not In love」が、テープ編集でコーラスの4人のメンバーの声を256人に増やして作ったという曲になってます。
おかげで終始、不思議な雰囲気の漂うなんとも言えない曲になってるんですよね。
こういうところが10cc流の屈折したポップ・センスになってると思います。

それと10ccと言えばもう1つ”ギズモ”ですね。
これはケヴィン&ロルの2人がマンチェスター工科大学の協力を得て開発したという新楽器で、まあ、簡単に言うとギター・アタッチメントの一種なんですけど、このギズモも10ccの屈折ポップにはなくてはならないものになってます。
まあ、このギズモの開発がきっかけでケヴィン&ロルの実験的な音楽への追及ってものが加速されて、結局は2人揃って10cを脱退してしまう事になるんですけど、もともと音楽の方向性が違うコンビだったので、これは当然と言えば当然かもね。

とにかく、こういう不思議なポップは私は大好きなのだ。
機会があれば聴いて見ましょう。

って事で、名曲「I'm Not In love」を。
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by sy_rock1009 | 2006-10-11 23:03 | 洋楽アルバム・70's
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