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70年代前半には勢いのあったプログレッシヴ・ロックも、やがてその勢いも弱まり、代わってパンクの波が押し寄せていたというのが70年代後半のブリティッシュ・ロック・シーンなんですけど、そんなパンク全盛の77年にたった一枚のアルバムを残して消えていったという、なんとも悪い時期にデビューしてしまったのが、今回紹介するイングランドという
バンドであります。 ●ENGLAND / GARDEN SHED ●イングランド / 枯葉が落ちる庭園 2.All Alone (Introducing) 3.Three Piece Suite 4.Paraffinalea 5.Yellow 6.Poisoned Youth ロバート・ウェブを中心とした4人組のイングランドは以前に取り上げたケストレルほどではないけども、プログレ・ファンの間では隠れた名バンドとして認知されている存在です。 たった一枚しかアルバムを出してないが、それなりのインパクトを残して忽然と消えたのも、なんとなくケストレルと近い感じがしますしね。 まあ、厳密に言うとこのデビュー・アルバムが96年にCD化された時、レコーディングはしたものの、パンク全盛で話題にならなかったとの理由でレーベルとの契約を切られ、お蔵入りになってた幻のセカンド・アルバム「THE LAST OF THE JUBBLIES」というのが発売されたので、実際は2枚のアルバムを残したってのが正しいのかも知れないけどね。 とにかくイングランドのデビュー・アルバム「GARDEN SHED」は、そんなパンク全盛の時代に逆らうかの如く、正統派のプログレッシヴ・ロックを見せ付けたバンドなのだ。 基本的なサウンドはズバリ、ジェネシス+イエスで、明らかに影響を受けてるんやろなーってのが聴いて取れます。 特にジェネシスの方にはより強く影響を受けている感じで、メロトロンを要所で効果的に 使っているスタイルは、かなりのジェネシス・フォロワーな気がする。 また、ギターの泣きもジェネシスのスティーヴ・ハケットばりで、心地よく耳に残る点も似ていなくもない。 これだけやと単なる物真似バンドのようですけど、しっかりイングランドにしかない味を見せているのが、いまだに日本のプログレ・ファンをキャッチ・ザ・ハートしているところでしょう。 まず、メンバー全員によるヴォーカルは、それぞれの声質を活かして曲の幅を広げているのが、イングランド最大の特徴だと思いますね。 おかげでどの曲もバラエティに富んだ感じに仕上がってます。 曲そのものも叙情的でいて、結構、複雑な構成を聴かせるあたり、テクニックやアレンジ能力が高い事を証明してますね。 このあたりのすべてが水準以上ある高いポテンシャルはさすがプログレ・バンドって感じ。 曲はどれもそつのない構成や展開で、全て聴きどころと言えるんだが、その中でも目まぐるしい展開が印象的な「Three Piece Suite」は紛れもない名曲。 イングランドを聴いた事がないプログレ・ファンは、これだけの為にアルバムを買ってしまっても良いぐらいの曲です。 「Poisoned Youth」のドラマティックな大曲も、なかなか良い。 まあ、他の曲も良いし、結局は全部良いんだけどね。 良いと言えばジャケットも何となく好きです。 マーマレード・ジャムのパッケージをモチーフにしたというポップなアートと、実際には高度なテクニックと緻密なアレンジで構成されたアルバムの中身とのアンバランスさが良い感じ。 唯一、良くないのが音質がちょっと悪い点で、リマスター盤として紙ジャケで出てるものでさえ、ちょっと音が悪い感じがする。 でも、そこまで気になる程度ではないのですけどね。 その紙ジャケ盤にはボーナス・トラックも一曲入ってます。 ちなみに、このイングランドが今年の夏に再結成して来日するようです。 何で?って感じもあるが、「GARDEN SHED」を生で聴けるチャンスが生まれたってのはファンにとっては嬉しニュースなんでしょうね。
by sy_rock1009
| 2006-04-03 21:25
| 洋楽アルバム・70's
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