ヴァイオレンス・ロック
デヴィッド・ボウイのサポートを受けて頭角を現すようになったバンド、モット・ザ・フープル。
今回はそんな70年代前半のグラム・ロック全盛期を彩った彼らの代表作で、74年に発表した「THE HOOPLE」を取り上げます。

●MOTT THE HOOPLE / THE HOOPLE
●モット・ザ・フープル / ロックン・ロール黄金時代


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Tracks
1.The Golden Age of Rock 'n' Roll
2.Marionette
3.Alice
4.Crash Street Kidds
5.Born Late '58
6.Trudi's Song
7.Pearl n' Roy (England)
8.Through The Looking Glass
9.Roll Away The Stone



一応、モット・ザ・フープルと言うと派手な衣装でのステージ・パフォーマンスなどからグラム・ロックというジャンルに入っているんだが、サウンド自体はワイルドでエネルギッシュなハード・ロック的なバンドだったんじゃないかと私は思う。
実際、そんなスタイルから”ヴァイオレンス・ロック”などとも呼ばれたようだ。
つまりは”グラマラスかつ攻撃的”というのがモット・ザ・フープルの特徴だろう。

とは言え他のバンドにも良くある事だが、モットは最初から順調に成功した訳ではない。
ライヴでの評価は高かったものの、アルバム・セールス的には失敗続きだったのだ。
その影響か一時は解散寸前の彼らだったが、ここで救いの手が入る事で状況が変わる。
その人物こそデヴィッド・ボウイで、メンバーの1人が先の見えなくなったモットに見切りをつけ、ボウイにベーシストとして雇ってもらおうと電話したのがきっかけである。
ここでボウイがした返事はベーシストとして雇うかどうかと言うものでなく、自分がモット・ザ・フープルに魅了されている事を告げ、「バンドを救いたい」と言うものだったのだ。
これも評判の高いステージのおかげだろうが、とにかくこの事がきっかけとなり、ボウイのプロデュースで「ALL THE YOUNG DUDES」(邦題「すべての若き野郎ども」)
72年に発表する。
タイトル・ナンバーもボウイは提供し、その甲斐あってか全英21位、アメリカでも37位という初めてのヒットを記録する。
続く73年に発表したアルバム「MOTT」(邦題「革命」)では、前作での突如の成功がボウイの力のみによるものでない事を証明するかのように、セルフ・プロデュースにより
完成させる。
このアルバムもヒットし、さらなる成功を得て絶頂期を迎える訳だが、同時にヴァーカルのイアン・ハンターがあからさまに主導権を握るようにもなる。
その事が原因でバンド創設の中心人物だったミック・ラルフスが脱退し、ポール・ロジャースと共にバッド・カンパニーを結成する事となったのだ。

そんな事で絶頂期でもあり、完全なイアン・ハンターのワン・マン・バンドと化したモットが、新たなメンバーを加えて、より暴力性を打ち出し強調したアルバムが今回の本題である
アルバム「THE HOOPLE」なのだ。
「The Golden Age of Rock 'n' Roll」「Roll Away The Stone」という代表的ヒット曲も生まれた本作は、まさにバンドの絶頂期を思わせる充実したものに仕上がっており、豪快にして繊細なイアン・ハンターのロックン・ローラーぶりも絶好調だ。
アルバム・ジャケットも含め、これほど完成されたアルバムも珍しい。
と言いながら、個人的にこのアルバムで一番好きなのは各曲、それぞれに付けられた
ムチャな邦題だったりする。

1曲目の「The Golden Age of Rock 'n' Roll」「ロックン・ロール黄金時代」と言うのは全然構わないが、3曲目の「Alice」が、なぜ「あばずれアリス」となるのかが、よう分からん。
5曲目の「Born Late '58」に至っては「あの娘はイカしたキャデラック」である。
訳分からんすぎ!
でも、私はこういう変な邦題は結構好きで、特に70年代の洋楽にはこんなのがいっぱいあって、個人的には大好きなのだ。
フランク・ザッパなんかヘンテコ邦題のオンパレードやったもんね。
もちろん、単に邦題がおもろいから良いってわけじゃなく、肝心の音楽が良いのが前提での話なのは言うまでもない。
そういう意味ではこのアルバムはサウンドも良いと言えるんじゃないなかろうか。
かなり好みは分かれるが…。

とりあえずこのアルバムがモット・ザ・フープル名義で最後のオリジナル・スタジオ・アルバムになった訳だが、なかなかに良いアルバムなので結構お薦めである。
特に最近はT.レックスが再評価されているので、それを機にグラム・ロック自体に興味を持った人なら、なおさらお薦めかも。
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by sy_rock1009 | 2005-08-17 20:19 | 洋楽アルバム・70's
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