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独特の浮遊感のあるサウンド・スタイルから”スペース・ロック”と言う、何とも胡散臭い呼ばれ方もしたブリティッシュ・ハード屈指の個性派バンド、UFO。
今日はそんなUFOが74年に発表した傑作、「PHENOMENON」を紹介します。 ●UFO / PHENOMENON ●UFO / 現象 2. Crystal Light 3. Doctor Doctor 4. Space Child 5. Rock Bottom 6. Too Young To No 7. Time On My Hands 8. Built For Comfort 9. Lifstick Traces 10. Queen Of The Deep フィル・モグ(vo)、ミック・ボルトン(g)、ピート・ウェイ(b)、アンディ・パーカー(ds)という ラインナップで69年にスタートしたオリジナルUFO。 70年にわずか2日間で録音された「UFO 1」でデビューを飾り、エディ・コクランの「C'mon Everybody」のカバー・ソングがドイツと日本でヒットするが、全体的なサウンドはサイケなヘヴィー・ロックというもので、あまりパッとした成果は得られずだった。 デビュー・アルバムの局地的なヒットで活動の拠点をドイツに移した彼らだが、続いて発表したセカンド・アルバムは凝りもせずサイケなヘヴィー・ロック路線をさらに強めたものであり、何とも煮え切らないものであった。 UFOというバンド名のクセにこの時までの彼らは全然飛び立てない状態だったのだ。 そんな彼らの転機はドイツでの活動時代に共演したスコーピオンズからマイケル・シェンカーを引き抜いて、新しいラインナップを固めた事で訪れる。 いよいよUFOの飛び立つ時が来たのだ。 そこで心機一転、レーベルをマイナーだったビーコンからメジャーなクリサリスへと移籍し、そのクリサリス第一弾として74年に発表したのが、ヒプノシスの手からなる印象的なレコード・ジャケットの新生UFOの再デビュー作であり、今回取り上げるアルバムでもある「PHENOMENON」なのだ。 元祖早弾きギター・ヒーローのアルヴィン・リーを擁するテン・イヤーズ・アフターのベーシストだったレオ・ライオンズがプロデューサーを務めた本作は、怒涛の泣きのフレーズとクセのあるリフを止めどなく繰り出すマイケル・シェンカーのギターが前面に押し出された、それまでのブリティッシュ・ロックにはなかった独特のスタイルを持ったアルバムである。 特に2つの名曲「Doctor Doctor」の静から動へと変化するドラマティックな展開、「Rock Bottom」でのイントロから走りっぱなしのギターはいつ聴いてもカッコイイ! 他にも「Lipstick Traces」のような叙情的な美しさのある曲などがあり、マイケル・シェンカーのギターを中心とした楽曲が楽しめる。 これらの楽曲にフィル・モグのねっとりした粘り気のある、上手いのかどうか分からないが、おそらく上手いであろうヴォーカルが不思議と合う。 ちなみに私がマイケル・シェンカーの全キャリアを通して初めて聴いた曲というのが「Rock Bottom」で、このアルバムで一番好きな曲であり、思い出深い曲である。 もともとアンディ・パウエルとテッド・ターナーのツイン・リードが象徴のウィッシュボーン・アッシュが好きだった私であったが、中でもアンディ・パウエルのトレードマークであるフライングVを駆使した叙情的なメロディーが好きだった。 マイケル・シェンカーも同様にフライングVがトレードマークだが、アンディ・パウエルに憧れてフライングVを手にするようになったと言う話を聞いて、その流れで何となく聴いてみたのがこの曲なのだ。 6分半にもおよぶこの曲の間奏での長いソロを聴いた瞬間、あまりのカッコ良さにブッとんだ記憶がある。 それ以来、マイケル・シェンカーは私のお気に入りギタリストの1人に加わったのだ。 まあ、精神状態の悪化から失踪をしてUFOを解雇されたり、その後スコーピオンズに戻るも神経性の過労でダウンしたり、MSGでも名盤を残すが色々あったりと、なかなか話題には事欠かないお人であるが…。 しかし、リッチー・ブラックモアやイングヴェイ、その他のロック・ギタリストも変わり者が多いので、マイケル・シェンカーもそれらの例にもれずに、プレイを含めたすべてがロック・ ギタリストらしくて良い。 とにかく試行錯誤を重ねたUFOとマイケル・シェンカーの個性が良い方向に化学反応を起こしたこのアルバムは、他にも聴きどころが多く、ギター・サウンドが好きな人には結構お薦めである。
by sy_rock1009
| 2005-07-17 19:17
| 洋楽アルバム・70's
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