クリムゾン・キングの宮殿
”衝撃のデビュー・アルバム”と形容されるアルバムは数多くあれど、今回紹介する
このキング・クリムゾンのデビュー・アルバムほど、その言葉を体現しているものはない。
まさに真の”衝撃のデビュー・アルバム”と言えるだろう。
という事で今回はコチラのアルバムを紹介です。

KING CRIMSON / IN THE COURT OF THE CRIMSON KING
●キング・クリムゾン / クリムゾン・キングの宮殿


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Tracks
1.21st Century Schizoid Man
 including Mirrors
2.I Talk To The Wind
3.Epitaph
including:
 (a)March For A Reason
 (b)Tomorrow And Tomorrow
4.Moonchild including:
 (a)The Dream
 (b)The Illusion
5.The Court Of The Crimson King
 including:
 (a)The Return Of The Fire Witch
 (b)The Dance Of The Puppets

1969年10月10日に発売された本作は、初登場で全英アルバム・チャートの5位という記録を打ち立てる。
さらにその後、長期に渡って1位に居座ってたビートルズの傑作「ABBEY ROAD」
蹴落としてトップにまで上りつめるという快挙を成し遂げた。
この事だけでも”衝撃のデビュー・アルバム”というに相応しいものではある。
だが、このアルバムを語る上でビートルズを蹴落としてだとか、チャートが何位だとか、
そんな事はさして重要ではないのかも知れない。
一番重要なのは当然ながらアルバムの中身そのもので、高度で完成された演奏力、
狂気と静寂の対比というものを全5曲約44分で表現した構成力。
こんなインパクトのあるデビュー・アルバムは他にないと断言しても良い。
またジャケットからして強烈である。
今は亡きバリー・ゴッドバーによるこのカバーは、アルバムに漂う緊張感を代弁しているかのような凄まじいインパクトで見た者の脳裏に焼き付ける。
ホント、すべてが完璧なのだ。

もちろん曲そのものも凄まじい。
まずはやっぱりオープニングの「21st Century Schizoid Man」に尽きる。
このアルバムだけでなく、全クリムゾンのキャリアを含めても代表曲といっておそらく差し支えないであろう。
イコライザーで歪ませたヴォーカル、ファズをかけまくってこれまた歪ませたロバート・フリップのギター、狂気的なまでのサックスによるリフ、叩きに叩きまくったドラム。
そして、頭が痛くなるようなエンディング。
まさにジャケット・ワークと一体となった狂気的な質感を持った曲だ。
この曲を聴いてクリムゾンのファンになった人も多いと思うが、実は私もその1人で初めて聴いた時は、もうブッ飛んだ。
すでにピンク・フロイドにどっぷりハマッていた私だったが、プログレというジャンルそのものにどっぷりハマるまでには至ってなかった。
それがこの曲との出会いによってフロイド以外のプログレ・バンドにまで目を向けさせたという点で、私にとっては特別な意味のある曲なのだ。
おかげで今ではすっかりプログレ大好き人間になってしまったが…。
ちなみにこの曲の邦題は最近では「21世紀のスキッツォイド・マン」となっている。
私はこの表記が大嫌いである。
倫理上不適切な表現との理由からこうなってしまったが、やはりこの曲の邦題は当時のように「21世紀の精神異常者」という表記の方が趣があって私は好きだ。

続く2曲目「I Talk To The Wind」は一転してのスロー・ナンバー。
フルートとメロトロンが綺麗に絡み、グレッグ・レイクのヴォーカルもオープニングとは全く違い、曲に溶け込むかのような見事なヴォーカルを聴かせる。
1曲目の激しさとこの曲の落ち着きの落差こそ”狂気と静寂の対比”の象徴とも言え、
クリムゾンの持つ大きな魅力の一つだと私は思う。

3曲目の「Epitaph」もクリムゾンの代表曲のひとつで、このアルバムのベスト・トラックと言えるかも知れない。
ここでもメロトロンが印象的に使われ、ピート・シンフィールドの詞も素晴らしい名曲だ。
グレッグ・レイクのヴォーカルも甘いようでもあり重々しいようでもあって、曲調や歌詞と非常によく合っている。
混迷さを”美”というものに置き換えた素晴らしい曲だ。
そう言えば昔、フジテレビで放送してた「カルトQ」ってクイズ番組で、問題が出題される前にこの「Epitaph」のイントロが一瞬だけ使われてた。
その時は思わず「おっ!」と思ったもんだ。
って、全然関係ない話やけど…。

4曲目「Moonchild」は本作では一番地味な存在の曲だ。
だが駄作というものではない。
他が凄すぎるので、どうしても影が薄くなる。
約12分という、このアルバムで一番長いで曲でもある。

最後の「The Court Of The Crimson King」も、またまたクリムゾンの代表曲の一つで、約10分もある大作ナンバーである。
イアン・マクドナルドとピート・シンフィールドの二人による楽曲だが、とりわけ作曲したイアン・マクドナルドの才能が遺憾なく発揮された、彼の最高傑作とも言える作品だ。
演奏面でもまたまた効果的に使われているメロトロンにフルート、マイケル・ジャイルスの素晴らしいドラム、すべてが見事で完璧なラスト・ナンバーと言える。

このように簡単ながら曲の紹介をしたが、ロックは当然、クラシック、ジャズ、フォークなどのさまざまな要素を導入し、アルバム全体をただならぬ緊張感で包み込んでいる本作は、プログレだけじゃなくロックというジャンルすべてで見ても永遠に語られる名盤と言えるでしょう。
決してプログレというジャンルは万人受けではないが、もしロック好きで聴いた事がないって人がいれば、それはかなりの損をしているので是非聴いて欲しいもんです。
それでもし気に入れば以降のアルバム、特に「LARKS' TONGUES IN ASPIC」「RED」あたりもきっと気に入るはず。
これらともども聴いてはみてはどうだろう。
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by sy_rock1009 | 2005-05-04 12:33 | 洋楽アルバム・60's
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