アメリカン・ハード・ロックの雄、マウンテン!
ジャック・ブルース、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーの3人からなるスーパー・トリオ・バンド、クリーム。
そのクリームの「DISRAELI GEARS」「WHEELS OF FIRE」などの一連のアルバムをプロデュースした事でロック・ファンには知られた存在の、フェリックス・パパラルディ。
今回はそのフェリックスが在籍していたバンド、マウンテンが70年に発表した2枚目の
アルバム「CLIMBING!」を紹介しようと思います。

MOUNTAIN / CLIMBING!
マウンテン / 勝利への登攀


b0054129_20115559.jpg
Tracks
1.Mississippi Queen
2.Theme For An Imaginary Western
3.Never In My Life
4.Silver Paper
5.For Yasgur's Farm
6.To My Friend
7.The Laird
8.Sittin' On A Rainbow
9.Boys In The Band



69年にアメリカはニューヨークで結成されたマウンテンのサウンドは、簡単に言ってしまえば”アメリカ版クリーム”といったところだろうか。
クリームのようにメンバー同士が火花を散らしながら、ただならぬ緊張感を漂わせるプレイとまではいかないものの、ライヴに重点を置き、何分でも演奏するといった姿勢はクリームに通じるものがある。
さらにクリームがブルースをベースにブリティッシュ・ハード・ロックの基礎を作ったのなら、マウンテンも同様にブルースをベースにアメリカン・ハード・ロックの基礎を作ったというところでも似ていると言えるだろう。

そのマウンテン・サウンドの要の一つに、まずはフェリックスのベースが上げられるだろう。
ファズをかけた重量感溢れるプレイは、マウンテンにはなくてはならないものだ。
さらにもう一つ重要なのがギターにある。
元ヴァグランツの巨漢ギタリスト、レスリー・ウエストのブルースを主体にした独特なチョーキングを多用したプレイは、後のギタリストに多大な影響を与えた。
中でもあのマイケル・シェンカーはレスリーの大ファンで、彼の事を”神”と崇めているほどに尊敬している有名な話もあるぐらいだ。

さてアルバムの方に話を移すが、冒頭で本作は彼らの2枚目のアルバムと書いたが、実質的にはこれがデビュー・アルバムである。
というのも当初は「レスリー・ウエストとマウンテン」という名でセッション・バンド的な活動をし、試すようにアルバムを1枚だけ発表した。
基本的に当時のアメリカ、特に東海岸はハード・ロックのイメージがなかった事からなのだが、それが次第にデトロイトを中心に名前が知れ渡っていくようになると、バンド名も
「マウンテン」に改め、そこで発表したのが今作「CLIMBING!」という訳だ。

「Mississippi Queen」「Theme For An Imaginary Western」、そして「For Yasgur's Farm」という彼らの代表曲3つが収められたこのアルバムは、チャート的には全米で17位というアクションに終わっているが、これは前述した通りアメリカにはハード・ロックが根付いていなかっただけの話。
2分31秒と短いがイントロのレスリーがかき鳴らすギターが印象的なヘヴィ・サウンドの「Mississippi Queen」
ヘヴィさだけでなく、哀愁漂う叙情性に満ちた対比を見事に表現していた
「Theme For An Imaginary Western」
こちらも同じようにヘヴィさと叙情性を兼ね備えたライヴでも人気のナンバー
「For Yasgur's Farm」
本当に素晴らしいの一言に尽きる。
その素晴らしさは次作「NANTUCKET SLEIGHRIDE」でさらに完成される。

私がマウンテンの好きな理由にここで述べたヘヴィさと叙情性の”対比”にある。
この手法はイギリスのバンドに多いのだが、サウンド的には攻撃的なのに、どこかクールな面も見え隠れするといった要素。
いわばアメリカンっぽくないというところが、マウンテンの最大の魅力かも知れない。
おそらくクリームを手掛けた時に、自分でもこういうサウンドを出すバンドを組みたいと思ったフェリックスの意図だと思うが、それが見事にハマッたと言える。
もちろん、それを可能にしたのがレスリー・ウエストというスーパー・ギタリストがいたからなのは言うまでもないだろう。

とにかくクリームと似ていたマウンテンだが、クリーム同様に各メンバーが優秀すぎるため、意見の衝突が激しくなって72年に解散してしまう。
またフェリックスはヘヴィ・サウンドのツケか難聴になって、プロデュース業に専念する事となった。
しかも、そのフェリックスは妻に射殺されるという事件でこの世を去ってしまう(1983年)。
大変、親日家でもあっただけに非常に残念である。
だが、ロックの世界で”クリームを手掛けた”事と”レスリーを発掘”したという、2つの偉業を為し遂げた事にかわりない。

一旦は解散したものの、再結成、解散と繰り返し、現在も活動するマウンテン。
クリームが好きで聴いた事がない人は聴いて損はないでしょう。
当然、レスリー・ウエストのギターに興味を持った人も聴いて損はない。
[PR]
by sy_rock1009 | 2005-03-09 22:29 | 洋楽アルバム・70's
<< チェーンソー姉妹+α バイオ4日記!(その5) >>