心地良いヴァイオリン・ロック
去年、カーヴド・エアがまさかの再結成を果たしただけでなく、ニュー・アルバムも発売し、さらには今月の16、17日に初来日公演も行ったという事なんで、今回はそれにちなんでこのアルバムにしました。
という事で、カーヴド・エアのメンバー、ダリル・ウェイがバンド脱退後に自らの名前を冠して結成したダリル・ウェイズ・ウルフのデビュー盤「CANIS-LUPUS」(73年)です。

●DARRYL WAY'S WOLF / CANIS-LUPUS
●ダリル・ウェイズ・ウルフ / カニス・ループス


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Tracks
1.The Void
2.Isolation Waltz
3.Go Down
4.Wolf
5.Cadanza
6.Chanson Sans Paroles
7.McDonald's Lament





一般的にウルフというバンドの存在を知っている人は少ないと思いますけど、コアなロック・ファンには結構な人気のあるバンドだと思います。
やっぱり、あのカーヴド・エアのダリル・ウェイが新たに作ったバンドってのがあるのかも知れませんね。

という事で、そんなウルフのメンバーは、ジョン・エサリッジ(g)、イアン・モズレー(ds)、
デク・メセカー(b,vo)、そしてダリル・ウェイという4人組からなってます。
ダリル・ウェイはカーヴド・エア時代同様、ヴァイオリンを担当してますけど、それ以外にもヴィオラやキーボードなんかも弾いていてなかなかに気合が入ってる感じがします。
これもカーヴド・エアで出来なかったことを、このバンドでやってやろうという意気込みの表れかも知れませんね。

そして、そんな意気込みを表すかのように組んだ実力派のミュージシャン。

イアン・モズレーは後に私の大好きなマリリオンに加入し、デク・メセカーはキャラヴァンに加入、そしてジョン・エサリッジはソフト・マシーンに加入とみんな凄い実力を持ってます。
特にジョン・エサリッジはあのアラン・ホールズワース師匠の推薦で加入したというので、その腕前は間違いなく一級品と言えますね。
ジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトのパートナーでジャズ・ヴァイオリニストのステファン・グラッペリにも認められたらしいし、とにかく凄いギタリストです。

で、さらにはプロデュースにキング・クリムゾンのイアン・マクドナルドを起用し、これでもかってぐらい万全の体制で作ったのがこの「CANIS-LUPUS」というデビュー・アルバム。

さぞや凄い内容なんじゃないかと思わせるが、聴けば意外と普通だったりする。
というか、かなり荒削りな内容って感じかな?
一応、アコースティックなサウンドからヘヴィーでブルーズのような幅広い曲を、それぞれヴァイオリンとギターで引き締めてますよ!って感じでまとめてはいるし、アルバム全体で見ても前半はギター、後半はヴァイオリンがリードするような構成になってはいる割りに、よくよく聴くと荒削りな印象があるかな。

でも、荒削りな中にもなんかグイグイ引き込まれる要素があるのも事実。

こういう部分はやっぱりイギリスのロックならではかなって感じがするけど、ギターの音とヴァイオリンの対比だったり、躍動感があるようで何となく陰りのある沈んだ空気感との対比といった感じで、何かと聴いていくとクセになっていく要素が詰まってます。
さすが腕利きミュージシャンの集まりって感じがしますよ。

そんな、なかなかに魅力ある曲が詰まってる中でも、一番のハイライトとなるのがやっぱりラストに収まってます「McDonald's Lament」でしょう。
もう、これしかないですよね。
曲名を見ても分かるように、プロデューサーのイアン・マクドナルドに捧げられた曲なんですが、ここでのダリル・ウェイの演奏が凄い。
ヴァイオリンなのかヴィオラなのか正直どっちの音か分からんけど、哀愁漂うサウンドはかなりグッと来るもんがあるし、相当にヤバイ。
あんまり知られてない曲かも知れんが、間違いなく70年代ブリティッシュ・ロックの中でも屈指の名曲に入ると思います。

あくまでも個人的にね。

まあ、とにかく他の曲も良くて、特に5曲目の「Cadanza」なんかで聴けるブッ飛んだヴァイオリンとギターの音はかなりカッコよく、ラスト・ナンバーとは違う良さがあると思うので、ブリティッシュ・ロックが好きならばこれらの曲は気に入ると思います。
聴いてみて損はないアルバムでしょう。

ただ唯一、ヴォーカルが弱いという難点がありますけどね。
昔からこの点は言われてたようですが、聴いてみて確かに私もそう感じた。
だからと言ってカーヴド・エアのソーニャ姉さんも、声量は少なく凄まじいまでの素人臭いヴォーカルで上手くはなかったけど、こっちは何かまた違う種類の弱さがある。
ソーニャ姉さんのヘタウマさと比べると、ウルフの方はただヘタなだけに聴こえるかな?
なんか「ちゃんと御飯食べてるか?」と問い詰めたい感じ。

まあ結局、次のアルバムではそのヴォーカル面の弱さを自分たちでも分かってたのか、ほぼインストゥルメンタル・アルバムとなるんですけどね。
そして、実は2ndの方が私は好きだったりもする。

まあ、機会があれば1st、2nd、両方を聴いてみましょう。
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by sy_rock1009 | 2009-01-22 22:31 | 洋楽アルバム・70's
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